宮沢賢治「銀河鉄道の夜」について3

 最初に手を挙げたカンパネルラが答えないと、先生は自分で星図を指さして説明を始めました、白い銀河を大きな良い望遠鏡で見ると、たくさんの小さな星に見える、そうでしょうと聞かれてジョバンニは真っ赤になって頷きました。そして、自分は知っていたし、カンパネルラも知っている、なぜならジョバンニが読んだ雑誌はカンパネルラの父の家で一緒に読んだ中にあったのです。それに、カンパネルラは雑誌を読むと、すぐに父の書斎から大きな本を持ってきて、キレイで美しい銀河の写真を2人で見たのです。それをカンパネルラが忘れる筈ないのに、返事をしなかったのは、自分が朝も午後も仕事が辛くて、学校に来てもみんなと前の様に遊ばずに、カンパネルラとも話さなくなったので、それを気の毒に思ったのだと考えたのです。
 そう思うとジョバンニは自分もカンパネルラも哀れな気がしたのです、それでも先生は説明を続けます。天の川が本当に川なら、小さな星は底の砂や砂利にあたる、水に見える部分は真空というもので、太陽や地球も真空に浮かんでいる、私達は天の川の水の中に棲んでいて、底の深く遠い所に星が集まって、白くぼんやり見える。そして、レンズの説明や様々な星について次の理科について話す、という所で授業は終わりの時間となります。

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