宮沢賢治「銀河鉄道の夜」について4

 ジョバンニがカンパネルラと見た雑誌の事を思いだし、変わってしまった関係に思わず涙を浮かべるなか、先生の天の川に関する説明が終わると共に授業も終わります。先生は最後に、今日は銀河のお祭りだから、外へ出て空を見てごらんなさい、と付け足して生徒達に本やノートをしまう様に言います。そして、しばらく教室は机の蓋を開けたり、本を重ねる音でいっぱいになりましたが、すぐに皆は立って礼をすると教室を出ていきました。ジョバンニが学校の門を出るときには、同じ組の何人かは家へ帰らずにカンパネルラを中心にして、校庭の隅の桜の木の所へ集まっていました。それは、先生が言っていた星祭りのに青い明かりを作って川へ流す烏瓜を取りに行く相談の様でした。ジョバンニも本心では混ざりたかったのか、手を大きく振って学校の門を出ました。
 すると町の家々には銀河の祭りの為に、植物の葉や枝をつるしたり、枝に明かりをつけたりと支度をしている様でした。ジョバンニは家に帰らず、町の大きな活版所に入って、昼なのに電燈がつき、沢山の輪転機がまわり、その中で働く人々の中で入り口から三番目の高いテーブルに座った人の所へいってお辞儀をしました。

Posted in 文学 | 宮沢賢治「銀河鉄道の夜」について4 はコメントを受け付けていません

Comments are closed.