宮沢賢治「銀河鉄道の夜」について17

 カンパネルラに売り物が「鳥」ではなく、只のお菓子だ、と言われた鳥捕りは慌てた様子で荷物と共にいなくなってしまいました。ですが、不思議に思う2人に教えるように燈台守が窓の外を見るので、そこを見ると鳥捕りが本当に鳥を捕まえている所が見えたのです。しかも、さっき2人が食べた様に鳥が平らになる様子まで見た上に、さっきまで汽車の外に居た鳥捕りが何時の間にか戻ってきて捕まえた鳥を数えていたのです。ジョバンニがどうやって戻ってきたのか聞けば、鳥捕りの方が不思議そうに来ようとしたから来た、むしろ2人はどこから来たのか、と問い返してきたのです。そう聞かれ、ジョバンニは答えられず、カンパネルラの方は何か思い出そうとしている様でした。そんな2人に鳥捕りは遠くからきたのか、と1人納得したように言うのです。
 それから少しして、3人の席の横に赤い帽子をかぶった背の高い車掌が急に現れ、切符を拝見いたします、と言ったのです。鳥捕りが直ぐに小さな紙を出し、それを受け取って中身を確認した車掌は、今度は2人に手を出してきました。ですが、気付いたら汽車に乗っていたジョバンニは切符を買った覚えがないので、出しようがありません。ですが、カンパネルラは直ぐに小さい鼠色の切符を出したのです。慌てたジョバンニはもしかしたら、と思い、上着のポケットを探ってみました。すると、四つ折りの紙が出てきたので、それを車掌の手に乗せたのです。

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