宮沢賢治「銀河鉄道の夜」について18

 車掌に切符を促され、ジョバンニは咄嗟にポケットに入っていた四つ折りの紙を差し出しました、なぜか分かりませんが、ジョバンニはそれが何かの証明書だと考えたのです。思った通り、その紙は特別な切符で、鳥捕りは「銀河鉄道でどこまでも行ける」と言うのです、ここで初めて「銀河鉄道」という言葉がハッキリ出てきます。その後も銀河鉄道は進んでいきますが、その途中で鳥捕りや、その後に出会った、乗っていた船が氷山にぶつかったという青年、その青年と一緒にやってきた十二歳くらいの女の子と、その子より少し幼いだろう男の子の姉弟、それから黄金と紅でキレイに彩られたリンゴを分けてくれた燈台看守などと不思議で、けれど美しい光景を次々に見聞きしました。ですが、どんな事にも終わりがあるように、銀河鉄道に乗る人達にも降りるべき場所があったのです。
 鳥捕りは気付かない内にいなくなってしまいましたが、その次に出会った青年はサウザンクロスで降りると言ったのです、青年と一緒に来た男の子はジョバンニとカンパネルラとの別れを惜しんで、まだ乗っていたいと言いました。たまらず、ジョバンニも自分は特別な切符を持っているから、もっと一緒に乗っていこうとも言いました。けれど、女の子は天上へ行くために、降りないといけないと、寂しそうに言うのです。

Posted in 文学 | 宮沢賢治「銀河鉄道の夜」について18 はコメントを受け付けていません

Comments are closed.