武田泰淳 『風媒花』 二十九

一 橋のほとり 二十九

「……。峯は軍地の攻撃を柳に風と受け流すことができる。メチルプロパミン錠の、うす黄色い錠剤が、平日よりたった五粒増しただけで、峯は冷静な、積極的な男にしている。」

峯は薬を服用として奴と自身が保てる崖っぷちの状況にあることがここで仄めかされています。

敗戦直後は、精神状態が普通では乗り越えられなかったと思います。普通の人であれば、精神が参ってしまうに違いありません。峯はそうした日本人の一人に過ぎません。

「『軍地は悲劇的な男だな』峯は、できるだけ深刻ぶらずに語る。『軍地は本来なら、独裁者になれる男さ。才能と勇気の点ではね。彼はだが遺憾ながら文学病患者なんだ。潔癖すぎるんだ。ところが政治という奴は、正しくなければ、居ても立ってもいられないんだ。ところが政治という奴は、正しいだけでは問題にならせないんだ。政治は権力を必要とするんだ。他を利用し、ひきずり込み、屈服させる権力が第一なんだ。 中国文化研究者は良心的になればなるほど、政治の壁にぶつかるよ。(つづく)

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