武田泰淳 『風媒花』 三十

一 橋のほとり 三十

(承前)革命の壁にぶつかるよ。その壁を意識し、そこから離れられなくなる。だけど、文学的な革命者という奴は、つねに悲劇に終わるもんだよ。軍地は我々のあいだでは、多少政治的な男かも知れんさ。だが、本当の物凄い政治家が、俺たちを支配しようと、どこかで待ちかまえてるんだ。そいつはおそらく、軍地的な文学的な男じゃない。我々とは別種の、異質の男だ。そいつの出現到来を軍地を希望しつつ、また一方でそれは抵抗し反抗しなきゃならないだろ。彼は真二つに引裂かれたために、敢て努力しているようなもんだよ」

ここで、峯の軍地観が語られています。この短い文章に軍地の何たるかは全て言い尽くされています。そして、峯にとって。政治家とは、冷酷なまでに非情なものでしか、務まらないと考えられているようです。

この峯の語に次いで、先ほど描かれた男2人の、商売の話をしている様が地の文で書かれています。この対比は、なんとも言えないものがあります。それだけ、峯の語った言葉が生き生きとします。

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